コラム『ウィングチップのお話~革靴界のつばさ君』

こんにちは。。。BROSENTの清水です。。。

メンズシューズにはいくつかの定番デザインが存在します。
プレーントゥ、ストレートチップ、ウィングチップ、ユーチップ、モンクストラップあたりが主だったところでしょうか?
今回はその中の一つウィングチップについてお話したいと思います。

靴に興味を覚えた中学生のころは、某REGALのウィングチップに憧れたものです。
当時は今ほどファッション誌も多くなく、ましてやネットもない時代。
情報はごく僅かでしたが、靴屋さんの高級ゾーンに飾られているその靴がとてもまぶしく見えたものです。
紳士靴のデザインの中で最も華やかなデザインと言っても良いのではないでしょうか?


さてその華やかなデザイン、ウィングは機能ありきのデザインだったことはご存知ですか?
19世紀頃から一般的に履かれるようになったようですが、元々は狩猟など野を歩くために開発されたデザインでした。
デザインを形成するギザギザや穴飾りは水はけを良くするための意匠です。
今でいうトレッキングブーツの役割ですね。
狩猟や釣りなどアウトドアでもジャケットを羽織っていた時代ですから、足元も革靴になる訳です。
そんなハードなウィングチップですが、現在ではスーツやジャケットスタイルは下より、カジュアルスタイルなど幅広いスタイルの中で利用されています。

 

歴史に続いてはその名称についてです。
日本ではウィングチップの名で通ったこのデザインですが、意外にも海外では通じません。
海外ではフルブローグ、ブローグなどと呼びます。
内羽根ならフルブローグ・オックスフォード、外羽根ならフルブローグ・ダービー、と言った具合です。
海外でお買い物をする際はお気を付けください。

因み日本の職人さんたちはおかめと呼びます。
爪先の意匠の形がおかめの額の形が似ている為です。

さて、このウイングチップの中でも様々なバリエーションが存在します。
まずはサイドのデザインが特徴的なこちら。。。

ロングウィング
ロングウィング

ウィングのサイドが後方まで伸びたデザインで、通称ロングウィングと呼ばれます。
サドルシューズと並びアメリカントラッドの代名詞とも言えるデザインだけに、アメリカ靴に多く見られます。

続いてはこちら。。。

ブラインドブローグ
ブラインドブローグ

穴飾りなどの装飾を全て取ったデザインで、ブラインドブローグと呼ばれます。
ブラインド=見えない、と言う意味です。
中にはウィングをパターンではなくステッチのみで形成したものもあり、イミテーションブローグなどとも呼ばれています。
すっきりとした印象で、よりモダンな雰囲気となります。
幅広い用途に使えるのでもう少し広まっても良いんじゃないかな~、と個人的には思っています。

続いてはこちら。。。

ショートウィング
ショートウィング

ウィングが短いのでショートウィングと呼ばれています。
日本はおろか海外でもあまり一般的なデザインではありませんが、主にビスポークなど高級靴と言われるブランドで見ることが出来ます。
靴好きなら是非持っていたい、通好みの1足です。
BROSENTでも人気のあるデザインです。

最後はこちら。。。

ダイヤモンドチップ
ダイヤモンドチップ

正確にはウィングとは言いませんが、その亜種と言うことで。
トゥのデザインがダイヤの形をしていることからダイヤモンドキャップと呼びます。
ウィングの進化版かと思いますが、より洗練された印象です。
BROSENTの二人も大好きで、自分たちが履く靴もまずはこのデザインで作りました。
オーダー数もBROSENTオリジナルデザインのVickey(=スライドキャップトゥ)とJoan(=ローファー)と並んでトップクラスのデザインです。
問答無用でかっこいい!と思います、私は!

如何でしたでしょうか?
ウィングと言っても色々あるのがお分かり頂けたでしょうか?
BROSENTでは様々なウィングチップをお作りすることが出来るので、是非お気に入りの1足を見つけてみて下さい!

 

 

 

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