コラム『私と世界の靴vol.2~クロケット&ジョーンズ(英)』

連載企画『私と世界の靴』、前回のホーウィンに続いて(前回は『こちら』をご覧ください)今回はイギリスの名門クロケット&ジョーンズ
ご存知の通り日本を初め世界的な人気を誇るビッグブランドです。
そのクロケットが名ラスト337を登場させた2001年ごろのお話です。
興味があったらお付き合いください。

 

清水『知ってるとは思うけど元々クロケットはOEM(Original Equipment Manufacturing の略で、他社のブランドなどの生産を請け負うこと)メーカーとして裏方の活躍が多かったんだ』
本間『みたいですね』
清水『それが2001年だったかな?突如ハンドグレードコレクションに新ラスト337を登場させて以降OEMをあまり受け付けなくなったんだ。オリジナルネームで勝負!みたいな』
本間『ハンドグレードって337の前があるんですか?』
清水『あったよ。330って言うのが。当時扱ってたけど全然売れなかった。。。(-_-;)』

 

 

清水『クロケットのパリ店が出来て、そこのショップインショップにディミトリー・ゴメスさんっていうビスポーク職人さんがいるんだけど、その人が監修したらしいよ。ゴメスさんの話はまた今度するとして、とにかく当時としてかなり洗練された木型だった』
本間『で、すぐに食いついたと』
清水『その通り!型は10型位だったかな?キャップが無かったのよ!』
本間『それ飲んだ時に聞いた!名作オードリーって清水さん企画だったって話!』
清水『( ̄ー ̄)ニヤリ』
本間『それってまぁまぁ凄いですよね』
清水『まぁまぁじゃねぇよ!まだオードリーって名前もなかったし、品番も9447じゃなかった。モデル名はまだ無くって、J9520って品番だったんだ』
本間『へ~』
清水『あと履いてみたら凄い足入れ良くてさ。「これじゃスタンダードとサイズ変わるな」と思って、「D出来ない?」って聞いたのよ』
本間『そしたら?』
清水『断られた。。。発注数の問題で。。。(T_T)』
本間『今はほとんどの店でDですよね? 』
清水『そう。頼んだ翌シーズンに足の細い人たちの国アメリカから大口の注文があったらしくで、D作ってくれることになったんだ』
本間『棚ぼたですね』
清水『。。。』

 

清水『話を工場に戻そうか。靴の顔つきって分かるか?』
本間『雰囲気とかですか?』
清水『そうそう。まぁ単純な見た目だよな。色々な工場を見に行って思ったんだけど、靴の顔つきって工場に凄く影響されてると思うんだ』
本間『と言いますと?』
清水『綺麗に整頓されている工場の靴は生真面目で細かい作りをしてる。逆にゴチャゴチャした工場の靴は何となく味がある。前者の代表がクロケットや、日本で言うとユニオンさん。後者が。。。』
本間『分かった、トリッカーズでしょ?』
清水『正解!BROSENTの靴を作ってくれてるセントラル靴さんみたいに工場は後者なんだけど、作りは前者と後者のミックス的な例外もあるけどな(-_-;)』


 

本間『体育館みたいですね』
清水『うん。明るいし、綺麗な工場だ。特に裁断の階は良く見えるように採光にまで気を使ってる。良い工場だと思うよ』
本間『ふ~ん。で何で写真セピアなんですか?』
清水『ん?この頃写真に凝り始めてさぁ。色々とやってみたかったんだ。特に意味はない』
本間『はぁ。。。』

 

 

本間『まだウッドラスト使ってるんですか!?』
清水『壊れ次第随時プララストに切り替えていくって。ウッドラストが良いようなイメージを持たれてる方多いと思うんだけど、実際は違うんだよね。細かい修正が必要なビスポークの場合はウッドラストの方が何かと便利なんだけど、形が決まっちゃってる既成靴の場合はプララストの方が都合が良いんだ』
本間『何でですか?』
清水『まず耐久性。ウッドラストでは大量の靴は作れない。割れちゃうから。あと湿気とかで微妙に形変わっちゃうんだよ、ウッドラストって』
本間『なるほど。確かに言われてみればそうですね』
清水『何でクロケットでもなるべくプララストを使って、足りない時だけウッドラストを使う。壊れたらプララストに交換。ってやってたわ』

 

本間『ショールームですか?』
清水『そう。古い物から最新のサンプルまで一通り目にすることが出来る。クロケットミュージアムだな。こんなのもあったぞ』

 

本間『凄いっすね、これ!何時頃の物なんですか?』
清水『知らん。中には万博とかに出したやつとか資料的な物も置いてあるよ。あ、そう言う古いサンプルを復刻させようってんでクロケットに昔あったコレクションの名にちなんで“スワン・コレクション”って言うの作ったことあったな』
本間『あ~、ありましたね!あれそう言うことだったんですか!』
清水『そう。ショールームで見た昔の靴がカッコイイな~と思って、現行ラストを使って作ってもらったのがスワンだったんだ』
本間『へ~』

清水『じゃあ、恒例のお食事タイムいこうか』
本間『今回は?』

 

 

清水『ずばり“ノーザンプトン・ジェントルマンズ・クラブ”!』
本間『仰々しい名前ですね~』
清水『会員制らしいよ。飲んだり飯食ったりできるらしい。店内の写真撮った記憶があるんだけど、見当たらないんだよね~』
本間『高いんですか?』
清水『ゴチだったんで分からんけど、安くはないんじゃない?』
本間『ですよね~。。。』
清水『写真真ん中が社長のジョナサン、左がノーザンプトンの重鎮でギネスさん。ギネスさんはあのギネスビールの創業者の一族らしいよ』
本間『ジェントルマンとか、ギネスとか、何か全体的に一流感漂ってますね』
清水『庶民的にはちょっと肩こるけどな。。。(;^_^A』

本間『実際に見て、聞いて、やってこないと分からない。裏ネタ満載のこのコラム。如何でしたか?次回はどこのお話でしょう?お楽しみに!清水さん、このコラム結構評判良いみたいですよ』
清水『書く方は写真探したりとか結構大変なんだぞ』
本間『頑張って下さい!では皆さん次回またお会いしましょう!』

清水『。。。』

 

 

 

 

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