コラム『私と世界の靴vol.17~革染めの技術』

こんにちは、BROSENTの清水です。
連作企画『私と世界の靴』、今回はBROSENTも得意としている革を染める技術についてお話したいと思います。
皆さんイタリアのマルケ州と言う場所をご存知でしょうか?
知ってらっしゃる方はかなりの靴マニアです!
今回はそのマルケ州を舞台にしたお話です。
興味があったら是非お付き合いください。

 

清水『本間、ノーザンプトンって知ってるか?』
本間『馬鹿にしてるんですか!?これでも靴に携わってる人間ですよ!イギリスの靴の有名な産地じゃないですか!』
清水『おぉ、そうか!じゃあマルケって知ってるか?』
本間『母を訪ねて三千里?』
清水『。。。。。。。。。。。。。。。。。。マルケってのは、トスカーナと並ぶイタリアの靴の一大生産地の名前だよ。場所はイタリアを足に例えるとふくらはぎの辺りだな。すねにあたるローマのちょうど逆側辺りかな』

【写真】

清水『トスカーナがメンズ、レディースを問わずモカシンとかカジュアル靴が中心なのに対し、マルケはメンズを中心に作ってる靴の聖地みたいな場所だ。何てったてメーカーの数がノーザンプトンとは比べ物にならん。ノーザンプトンが10社満たないのに対し、マルケには数千と言われるメーカーが乱立してると言われてる』
本間『凄いじゃないですか、マルコ!』
清水『マルケだ!ケ!ケ!』
本間『マルケですね?』
清水『そうだ!で、そのマルケだが、例えば俺が付き合ってたマウリッツィ、ヴェガ、アルマス、リゲインを初め、有名どころだとトッズ、サントーニ、ラッタンジなんかも皆マルケにあるメーカーだ』
本間『今度はホントに凄いですね、マルケ!』
清水『覚えたな、マルケ。では本題に入る。そのマルケにあるマウリッツィやアルマスの工場で見たんだが。。。』
本間『見たんだが?』
清水『うちと同じことやってます!』
本間『ん?』
清水『BROSENTのオーダーと言えば?』
本間『フリーカラーシステム!』
清水『そう!ヌメ革からお客様のご要望に応じて色染めを行うフリーカラーシステム!それと同じ技術を彼らもやってるのよ』
本間『そうなんですか!?』
清水『じゃあ見てみよう』

清水『まずはアルマスから見てみよう』

 

本間『家みたいな工場ですね?』
清水『家兼用だからな。ここんちみたいに一族だけで小さくやってるメーカーが一杯あるんだよ、イタリアには』
本間『へ~』
清水『で、アルマスが使っている革がこちら』

 

 

本間『綺麗な革ですね!うちと同じアノネイですか?』
清水『違うんだな。ここはイタリア・イルチェア社のベティスっ革のナチュラルを使ってる。うちはアノネイ社のヴェガノってやつなんだけど、厚さが違うんだわ。』
本間『厚さ?』
清水『そう。アノネイ社の革の方が基本厚いのな。その分ちょっと固いんだけど、うちの靴グッドイヤー製法だろ?その場合はある程度しっかりした革の方が向いてるんだわ。イタリアはマッケイ製法が多いだろ?その場合はベティスの方が柔らかいから適してるんだよ』
本間『へ~』

清水『で、染め始めます。この時は靴になってるナチュラルが無かったんで、代用した白い革でやってもらったんだ』

 


 

清水『使うのはこの2つ。液体の染料と、固形染料。固形って言ってもゆるいクリームって感じかな』
本間『一緒ですね、うちと』
清水『で、まずはスポンジで塗っていきます』

 

本間『あ!これも一緒だ!』
清水『な?面白いだろ?全く一緒なんだよ』
本間『パクられたか!?』
清水『いや、彼らうち来たことないし。。。でこんな感じになります』

 

 

清水『これを全体に施すと。。。』

 

 

清水『写真の右側のようになります。で。。。』
本間『分かりました!うちでもやってる最後のフィニッシュをかますと、左のようになるわけですよね?』
清水『正解です!』

清水『では次にマウリッツィ見てみようか』

 

 

本間『こっちは工場!って感じですね』
清水『結構立派な工場だね。規模的にも大きい方だと思うよ』
本間『ここも革はイルチェアですか?』

 

 

清水『そう、ここんちもイルチェア使ってた。同じイタリアだから安く手に入るってのもあるのかもね』
本間『なるほどね~』
清水『ただここんちがちょっと違うのは液体染料を使ってないこと』

 

 

本間『あ、確かにそうですね』
清水『かなりゆるいクリーム状の染料でやってたな』
本間『まぁ、何が正しいってことはないですからね。それぞれのやり方があって良いんじゃないですか?』
清水『ただ色が浅いよね、このやり方だと。うっすら下地が透けるって言うか。そういった感じが好きな人っているでしょ?如何にもハンドペイントです!みたいな感じがするのが良いんじゃないかな?』
本間『うちはお好みでどっちでも出来ますけどね』

 

 

清水『で、4回くらい重ねて完成って言ってたかな』
本間『海外では普通にやってるんですね。あ、でもイタリア以外はあまり見ないですね』
清水『フランスはやってるな』
本間『そっか。パティーヌですね?』
清水『そう。どっちにしてもラテン系の感性が生んだ手法なのは間違いなさそうだね』

本間『じゃあ僕の方から宣伝を!好みの色を選べると言うのは実は海外メーカーのオーダー会などではやっているところもあります。ではBROSENTは何が違うのか?無料なんです!通常は追加オプションとして2万円とか取ったりするのが普通ですが、BROSENTでは基本仕様として組み込まれています。したがって追加で料金を頂くことは致しません』

 


 

本間『またこの技術を応用した革の染替えも行っています。原則薄い色から濃い色への染替えとなりますが、液体染料を用いて内部から染め上げていくので、染替え後は普通の革と同じように扱って頂ければ大丈夫です』

 


 

清水『はい、ご苦労さん』
本間『海外の良い素材&手の細かい日本職人の技術&ラテンの感性の集合体がBROSENTの靴って訳です!』
清水『まだやってるよ。。。では次回また!』

 

 

BROSENTでは「染め替え」「修理」を郵送でご対応致します。
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