色の染替えに適さない革

こんにちは。職人本間です。

 

今回はご好評頂いている「革靴の染替え」について

今一度、皆様にご案内させて頂きたい内容です。

 

革の色を染め直すと言うのは非常に難しい

作業で御座います。

 

そんな中、「革だったら何でもできる」と言う

訳では御座いません。

 

革の種類は様々・・・

 

中には染め替え不可の物も御座います。

また、作業してみないと何とも言えない革や・・・

今回は革別に色々とご案内させて頂きます。

 

 

BROSENTのOPENから2年と数か月。

OPEN当初から行っているメニュー「革靴の色の染替え」ですが

ここ最近では日本全国からご依頼を頂くまでの人気メニューとなっております。

 

嬉しい限りなのですがその反面・・・

やはり認知度が上がりお問合せが増える一方、様々な内容のお問い合わせが入ります。

 

「イントレ(メッシュ)の白革をグリーンに出来ますか?」

「スエードの黒を白にしたい」

「顔料仕上げのシボ革をムラ無くこの色にしたい」

「シルバーの靴を黒にしたい」

「黒の靴を赤にしたい」

等々・・・

 

気持ちは解りますが・・・「革靴の色の染替え」は魔法では御座いませんm(__)m

上記のお問合せの場合はほぼ「染め替え不可」と言う事で

心苦しいのですがお断りさせて頂いております。

 

その都度、染め替えが可能か不可かは画像等で判断しご案内させて頂いているのですが

今回はお問い合わせが多く、染め替えが可能か不可かを革別にご紹介致しますので

是非ご参考にしてみて下さい。

 

まずはこちら。

 

 

「ホワイトレザー(白革」」です。

 

色が白なので何色にでも染められる様に感じられるかもしれませんが・・・

BROSENTでは染め替え不可で御座います。

 

白は染めている革では無く「顔料(塗料)」と言って革の上に「ペンキ」の様な塗料で塗られている革です。

その為、毛穴を全て塞いでしまっている為、染料を染み込ませる事が出来ません。

「顔料(塗料)」も薄く塗られていれば「除去」してから染める事も出来る場合も御座いますが

「ホワイトレザー」の場合は塗料が厚く完全除去が不可で御座います。

 

続いてはコチラの革

 

 

 

「イントレチャート(メッシュ」レザー」です。

 

スイマセン。不可で御座います。

隙間等、指や筆が届かなく作業出来ない箇所が有る事、細い革を編み込んでいる。または切込みを入れている

事から革の耐久性も弱く革が作業に耐えきれなく荒れてしまう歪んでしまう等の可能性も有ります。

 

続いてはこちら

 

 

「型押し クロコダイル調レザー」です。

 

勿論。本物の「クロコダイル」「リザード」等の爬虫類革もですが不可です。

こちらは革の上に「顔料(塗料)」で仕上げ更に「樹脂」等のコーティングが施されています。

完全に元の「革」をバリアされている為染料を染み込ませる事が出来ません。

 

エナメル素材も同等の為、BROSENTでは染め替えはお受けできません。

 

 続いてはコチラ

 

 

「型押し(シボ革)」です。

 

これは正直、キレイに染め替えが出来る革、キレイに仕上がらない革の場合が御座います。

私もあまり強気にお受けできる革では御座いません。

 

こちらの革も特に薄めのブラウン系は「顔料(塗料)」仕上げになります。

この「顔料(塗料)」の厚さによって仕上がりが異なります。

 

素直に除去出来れば良いのですがブランドによって「これでもか」と頑固にへばりついている革を

使用しているメーカーも御座います。

この場合、「アセトン」等の溶剤を使っても落ちなかったり「シンナー」を使っても

落としきれません。

そうなると強引に革を削って染めたりするしか方法が無いのですがその分、色ムラ等も出やすく

発色や色のコントロールも効きません。

 

青なら青、グリーンならグリーンにするのが精一杯の場合も御座います。

比較的ご依頼の多い革の種類ですが、通常の「スムースレザー」の染替えよりも

ご依頼頂いたカラーやお仕上がりに誤差が出る事が御座いますのでご注意下さい。

 

一応染め替えは「可能」とさせて頂き、画像や実際に見てからの判断とさせて頂きます。

 

続いてはコチラ 2種類一緒に。

 


 

「スエード・ヌバック 起毛皮革」です。

 

こちらの素材もお問い合わせは多く頂きます。

このスエード・ヌバックは染められない事は無いのですがかなりの「リスク」「デメリット」が

発生します。

 

1、「色の定着の悪さ」です。使用中にお洋服への色移り等が起こる可能性が高く有ります。

2、「発色の悪さ」です。黒にしてもグレーっぽい黒が限界です。

3、「素材の傷み」です。毛がゴワゴワする等、素材の変化が起こります。

4、「ライニングレザーへの色抜け」内側の革まで染料が突き抜けかなり汚れる事が多く有ります。

 

上記の他にも正直仕上がりはあまり良いとは言えません。

同色の染め直しならばまだ可能性は有りますが「色替え」に関しては・・・

やってやれない事は無いですが積極的には染め替えをおススメしない素材です。

 

続いてはこちら。

 

 


 

「顔料仕上げレザー」です。

 

先程の「ホワイトレザー」「型押しレザー」等でもご案内した「顔料」ですが

簡単に説明すると「白を使用して作る色」はほぼ「顔料」だと思って下さい。

 

例えば「ベージュ」「グレー」「水色」「ピンク」等はそうですね。

その手の色の革は基本「顔料仕上げ」の革の為基本的に染め替えは不可で御座います。

 

一部「黒を薄めて染色したグレー」等、染色技術を利用して仕上げられる場合も御座います。

どう見分けるの?ですよね。

 

例えば同じ「グレー」の靴を2つ見比べてみて下さい。

 


 

先の画像(左)は黒の染料を薄めてグレー染めした靴

後の画像(右)は顔料仕上げでグレーに仕上げた靴

 

染料染めに比べると顔料染めの靴は「ベタ塗り」な感じが解りますでしょうか。

この「ベタ塗り」の見た目である程度ご判断頂ければと思います。

 

と言う事で「顔料仕上げ」の場合も染め替えは基本的に不可となります。

 

続いては革の種類と言うよりも「状態」です。

 

 

何処か他店でもしくはご自身で・・・いずれにせよ「顔料(塗料)」仕上げをしてしまった靴です。

それが画像の様に「使用していたら剥がれてきた・・・」等。

剥がせる場合は除去しますが、デザインや革の素材、または傷み具合・・・

手の施しようが無い場合がご御座います。

その場合は染め替え不可となります。

 

如何でしたでしょうか。

少々長文でしたがご理解頂ける内容でしたでしょうか。

 

靴の染替えは「万能」で何でも出来る!訳では御座いませんので何卒ご理解頂ければと思います。

また、元の色を違う色に変えるのでそれなりに「ムラ」「希望色との誤差」等、仕上がり面でも

リスクは御座います。

 

また基本的には「革靴」の染替えがメインの為、「カバン」「ハンドバッグ」「コート」等は

お受けできません。

「お財布」「ベルト」等の革小物はご相談をお受けさせて頂きます。

 

「少しでもムラが気になる」「頼んでた色がイメージと少し違う」等が極端に気になると言う方は

染め替えのお仕上がりにご満足頂けないかもしれません。

 

1度染めてしまった靴は元には戻せません。

その辺りを良くご理解頂いた上で皆様の大切な靴の染替えをご検討くださいね。